着れば擦れるし傷も付くし形も変わる。
いつまでも買ったままの状態ではない。
「生きる」 ことにも似てる
そのライダースいいねと言われたこと
旅先で雨に濡れたりライブに行って汗が染み込んだり、
友人と街を歩いたあの夜の思い出すべてが
ライダースに映し出される。
やがて鈍く底光りするような革になるか、
黒とも茶色とも言えない絶妙な革の色になるのか
着続けないとわからない。
長い時間をかけた大人の遊びとも言えるかもしれない。
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「イタリアンレザー」は、高品質な革製品の素材として世界中で評価されている、イタリアで生産された革を指す一般的な用語です。
イタリアは長い歴史と伝統を持つ革製品の生産国として知られ、数ある革の生産国の中でもイタリアンレザーは世界的にトップクラスの評価をされています。
イタリアンレザーは安全な基準に従った製造プロセスで良質な原皮選びからフィニッシュの工程まで、高品質な革を徹底して生産しています。
ショルダーレザーとは、肩周りの革になります。
肩周りはよく動かすので筋肉が発達しています。
そのためショルダーレザーは比較的厚手で耐久性が高く、しっかりとした質感を持っています。
またトラと呼ばれるシワが多いのも特徴のひとつです。
写真の革に中に見える線のような模様がトラになります。
トラが多いもの、少ないもの、濃いもの、薄いもの、横や斜めや縦に入っているもの様々です。
トラは時間の経過とともに薄くなることはなく、その動物が生きた証で唯一無二の印になります。
動物の皮から革へのプロセスを鞣し(なめし)と言います。
鞣しによって、動物の皮から革製品を製造するための素材が作られます。
皮は劣化しやすく、鞣しによって防腐処理が実施され皮を保存可能な「革」にします。
現在の鞣しの主流は大きく分けると2つです。
ひとつはクロム鞣し
クロム塩を主成分とする化学物質を使用して革を柔らかくし、耐水性を高めます。
クロム鞣しは非常に迅速に行われるため、革の鞣しプロセスが1日〜5日で完了します。
これにより、大量生産が可能で、製品の供給を早く行うことができます。
環境への影響ですがクロム鞣しに使用されるクロム塩は、地下水や土壌に浸透する可能性があり汚染のリスクがあります。
もうひとつの鞣しがタンニン鞣しです。
バックラッシュが使う革は主にこちらのタンニン鞣しの革を使っています。
植物由来のタンニンを主とする物質を使用して革成分を柔らかくし、耐久性を高めます。
非常にゆっくり時間をかけて鞣すので5ヶ月〜6ヶ月ほど時間がかかります。
(もっとかかるものもあります)
タンニン鞣しは、天然の植物由来のタンニンを使用するため、環境に対する影響が比較的少ないとされています。
タンニン鞣しの革は自然な風合いがあり、色合いや質感が時間とともに変化し、使い込むほどに美しさが増します。
流通している革の中で、ベジタブルタンニン鞣しの革は全体の1割-2割程度と言われています。
理由は製造するのに手間(高いコスト)と時間がかかることが、タンニン鞣しの革の生産量が少ない一因となっています。
6年着用のイタリアンショルダーレザー。
イタリアでタンニン鞣しされたショルダーレザー。
裾はジップの開け閉めでよく擦れる箇所なので
他の箇所より艶が一段と上がっています。
新品時はハリのあるやや硬めの革ですが、
コシは残りしなやか革に変わっていました。
製品染めは染めていないナチュラルな色の革の状態で製品に(形に)します。
その後、染料で染めるので「製品染め」と言います。
BLACKカラーであれば黒色の染料の中に、まだ染まっていない状態のライダースを入れて染めます。
その過程で革は縮みますが、金属のファスナーは縮まないので、ウネウネした製品が出来ます。
また天然の革を使っているので、繊維の違いから縮率の違いや
(右袖は縮んでるけど左袖はあまり縮んでいないなど)
染料の入り方の違いで均一な製品にはならず、独特な雰囲気を醸し出すレザーになります。
基本的に縫い目などの奥の方までは染料は入っていきません。
縫い目を見ることで、染める前の革の色を見ることが出来ます。
写真は縫い目の奥の革がベージュに見えますがブラウンです。
鞣し後の革をブラウンに染めてからブラックに染めているのがイタショルのブラックになります。
シングルライダースの背中はシーム(継ぎ目)なしの贅沢な1枚革。
見る人が見ると、いい革をいい場所に使っているとわかる仕立て。
背中にシームを入れた方が小さい面積の革を集めれば済むので安価に仕上げれますが
革を大きく1枚使うことでライダースの存在力が1ランクも2ランクもアップします。
ベジタブルタンニンのショルダーレザーは最初こそ革は硬めですが
着込むほどに深みのある光沢が現われ、色味も1トーン深いブラックに変わります。
濡れたように見えるほど、エイジングしますので育てる楽しみがございます。
また手入れですが、基本的にはクリームなど塗らなくて構いません。
通常のお手入れはウエスでカラ拭き。
もしくは手で撫でるだけで十分です。
※手の脂と摩擦で艶が上がります。
クリームやオイルを塗ると、元々しっかり入っているところに さらに入るので、
革の内部に入りきらず、革の表面に残り、白い幕のようなものが出来ます。
クリームやオイルを入れる頃合いは、着ていると革の状態がわかってきますので、
そろそろ入れ時かなと思った時に入れると良いです。
※個人的に最初にクリームを入れたのは着用して8年目くらいでした。
雨に濡れた時は濡れた箇所を拭き取り、陰干しするだけで構いません。
革は水に弱いと言いますが、製品染めは水(染料)に漬け込んで出来上がりますので、
水に濡れても特に気にかけることはございません。
出来ればお買い上げ後、着用前に1枚写真を撮っておくことをおすすめいたします。
後々、どれくらい革が変化したのかわかります。
1936年創業のスイスの高級ファスナーメーカー。
2000S/S コレクションデビューより、バックラッシュの多くの製品にririファスナーが使われていました。
近年はririファスナーの価格の高騰もあり、バックラッシュオリジナルファスナーを主に使っています。
ririファスナーの特徴は耐久性、デザイン性、音の良さがあり、多くのファンがいるファスナーです。
Argent neroにはririのメタリックのM8を採用しています。
(写真のファスナー)
アルゼンチンという国の名は
銀を意味するラテン語の“Argentum”から取られました。
その昔スペインのフアン・ディアス・デ・ソリス率いる探検隊は、
航海の途中、巨大な川の河口にたどり着き、
その地のインディオから贈り物として銀を受け取ったそうです。
その銀をスペインに持ち帰ったことで、
この美しい金属が豊富にある銀の山脈の存在が知られます。
出典:外務省ホームページ
(https://www.ar.emb-japan.go.jp/ContenidoJP/07.TurismoDatosJP.htm)編集して作成
Argento neroとはイタリア語で銀黒
イタリアの革なのでファスナーの色と革の色を、イタリア語で表しました。
別注をするにあたり、これまでにご要望が多かったものを形にしました。
まず多かったのは「裏地は付いたままがいい」です。
・裏地の取り外しは意外とやらないので付いたままが良い。
・これまでの裏地だと袖通しが滑らかではないので、滑りが良いものが良い。
こうしたご要望にお応えするべく、ジャパンカーフ等で使われている袖通しのよい無地のレーヨンを採用しました。
写真のライダースにはレーヨンの裏地が付いています。
(アルジェントネロではございませんがイメージの参考になれば)
アルジェントネロに付く裏地は写真の裏地よりもっと真っ黒の裏地になります。
次に「着丈がもう少し長めが良い」です。
・ちょっと短すぎるので少しだけ長めにしてもらいたい。
10年前だと短めの着丈が好まれましたが、今はもう少し標準丈の方が好まれているようです。
アルジェントネロでは通常の1254-01より着丈をプラス2cm長めに設定しています。こちらも多かった声「ブラックにメタリックのファスナーがいい」です。
・ブラックカラーがいいんだけど、ファスナーが...
亜鉛のririは色が沈んで見えることもあり、ミッドナイトブラックに採用されている
ririのメタリックファスナーをアルジェントネロには採用しています。
バックラッシュらしい雰囲気を残しつつ都会的で洗練された印象も併せ持つ革色とファスナーの組み合わせです。
最後に申し訳ございませんが、価格が2万円アップします。
バックラッシュを代表するイタショルを別注するにあたり、妥協しない別注商品を生産するとなると価格が上がってしまいました。
ただ価格は上がりましたが、価格以上に良いものになったと思っております。