かつて少女だったわたしの
冒険ごころを誘う シャツ
日曜日は早く起きないと決めている
時計は見ていないが
丈が長めの影とともに美術館についた
コンクリートの壁に
モノトーンの配色
ハイセンスな建築に
足音が響く
遠い小さな町からやってきた
伝統的な模様
時代と芸術家
そしてそれを愛した気品ある過去のブルジョワジー
「Toile de Jouy トワル・ド・ジュイ」
かつて、マリーアントワネットも愛した
フランスの自然を切り取った風景たちに
彼女たちが煌びやかなものだけを愛したとは なぜか思えない
壁に響く足音を
パリの石畳の上をロマンティックに歩く足音に変えてみた
かと思うと
土のにおいがしてきて
曇ったり晴れたりを繰り返す空のように
バランスを探している
わたしの想像力は
壁紙にして、カバンにして
四角の中にこの柄を収めた中からは 飛び出した
挿絵の多い絵本から
小さな文字の本に変わった時みたいだ
かつて少女だったわたしの挑戦と成長と
物語を読み進める
冒険心を
シャツ という動きのある形が
やんちゃに誘ってくるのだ